2. 基本作業
ここでは基本的な作業について解説します。全ての作業に共通することですが、力を入れすぎず、無理をせずにゆっくり丁寧に行ってください。
2-1. バリ、パーティングライン取り
バリ、パーティングラインって何?
バリとは、製造過程で必ず出来てしまうものです。左画像のような薄い膜状のものや、右画像のような棒状のものなどがあります。どちらも必要ないものなので、カッターやニッパーを使い除去します。
パーティングラインもバリ同様、製造過程で必ず出来てしまうものです。軽度のバリの様なものです。カッターの刃を垂直に当てたまま横にスライドさせて削るか、サンドペーパーで削ります。
手順
<薄い膜状のバリ>
- カッターでバリを切り取る
- カッターの刃を垂直に当てて横にスライドさせて削る(サンドペーパーで削る)
- 使い古した歯ブラシなどで削りカスを落とす
<棒状のバリ>
- ニッパーでバリを切り取る
- カッターで残りを削り取る
- カッターの刃を垂直に当てて横スライドさせて削る(サンドペーパーで削る)
- 使い古した歯ブラシなどで削りカスを落とす
<注意事項>
- バリなのか判断が付かない場合は、組み合わさるパーツを実際に組み合わせて確認してください。
- 削った場所の光沢がなくなり目立ちますが、全てが組みあがった最後に処理をしますのでそのまま作業を進めて下さい。
カッターの刃をスライドさせて削る
カッターの刃をパーツに垂直に当て、矢印の方向にスライドさせます。カンナのように表面を薄く削ることが出来ます。
サンドペーパーをかける
サンドペーパーで削ります。本来、サンドペーパーを硬く平らな物に当てながら使いますが、パーツが小さいこともあり今回は手で押さえるだけで行いました。ただし、凹凸の激しいパーティションはカッターで削ってからサンドペーパーをかけて下さい。
歯ブラシで削りカスを掃除
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サンドペーパーがけなどをした後は削りカスが残ります。使い古して柔らかくなった歯ブラシなどでキレイにしましょう。
※力を入れすぎるとパーツが破損してしまうことがあります。優しく丁寧に行ってください。 |
注意点
大きなバリ取り
【画像:左】のように大きいものや【画像:右】のように穴を塞いでいるバリは、カッターでまず最初に中央で切り込みを入れ、次にパーツの端に沿って削っていきます。いきなりパーツに沿って削ろうとしても、バリにカッターが引っ掛かりうまく動きません。
棒状のバリ取り
棒状のバリはニッパーで切り取りますが、ニッパーはハサミなどとは違い切ると言うよりは挟んで引き千切るようなものなので、切断面が汚くなります。その為パーツギリギリで切ってしまうと、パーツ側までモギリとられてしまう可能性があります。それを防ぐ為に画像のように少し残して切り取り、後はカッターで削り取り、最後にサンドペーパーで仕上げをします。
残りをカッターで削ります。その際、一気に削り取るのではなく、上の方から徐々に徐々に削り取りましょう。【画像:右】のように、カッターマットなどの上に固定して削ると安定するのでやりやすくなります。
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最後にサンドペーパーがけをして、削りカスを歯ブラシで取り除いて終わりです。 |
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棒状のバリで忘れがちなのがこのような場合です。これも角度にあわせてキレイに削り取りましょう。 |
2-2. ディテールの復元
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バリやパーティングラインなどで凹が埋まってしまうことがあります。そのままでも良いのですがより完成度を上げるために凹を彫りなおしましょう。 |
カッターを使ってV字型に凹を掘ります。
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完成するとこのように見栄えがよくなります。
※完成写真を撮り忘れました。【画像:右】は既にスミ入れ(凹に塗装すること)がしてあります。 |
2-3. 気泡の処理
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気泡とは製造の際、型に原料を流し込む時に空気が入ってしまい出来てしまう物です。普通はパテで埋めるのですが、カラーレジンですのでその方法が使えません。
そこで同色のバリを使い修復します。 |
まず修復しやすくするため、穴を四角く掘りなおします。次に同じ大きさに切ったバリを瞬間接着剤で接着し完全に乾かします。
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瞬間接着剤が完全に乾いたら、あとは棒状のバリ取りと同じ容量で処理します。
- ニッパーで切り取る (パーツ側に少し埋めたバリを残す)
- カッターで残したバリを削る
- サンドペーパーをかけて仕上げる
【画像:左】が完成写真です。この後塗装や接着が終わった段階でモデリングワックスで艶を出せば目立たなくなります。 |
細かい部分への塗装
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マーカーでは細かい部分まで塗装が出来ないので、一旦ビニールなどに塗料を出し、爪楊枝で塗料を乗せるような感覚で塗っていきます。
※平芯のマーカーはペン先を押し込むと塗料が出てきます。 |
『塗る』のではなく『乗せる』ような感覚で塗りましょう。多少はみ出しても後で処理するので問題ありません。また塗料が足りないとうまく濡れませんので、こまめに塗料を付け直して下さい。
最後にはみ出した部分をカッターで削ります。
全体を塗る場合
パーツ裏面(未塗装部分)がクリップで挟める場合は【画像:左】のように、無理な場合は【画像:右】のように両面テープでパーツを貼り付け、乾いたら反対側も同じように塗ります。その際、パーツ側面の塗り忘れに注意してください。また、パーツに凹凸があってすぐ剥がれてしまう場合は、両面テープを二重〜三重にすることで解決できます。
広い面積を塗る場合
まず最初に塗り忘れがないように淵を塗ります。
次に広い部分を塗ります。この時の注意点は2つ
- 筆は水平に「→←→←」のような感じで動す
- もたもたせず、塗料が乾く前に一気に塗り上げる
- 乾いた後に二度塗りしない
塗料が乾いた状態で二度塗りすると必ずムラになります。どうしてもやり直したい場合はサンドペーパーやカッターで塗料を落としましょう。
※接着する前には必ず、パーツ同士がしっかり合わさるか確認してください。
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このように広いパーツは全体に塗るのではなく、黄点のようにパーツの中心のに数箇所だけ塗ります。あまり塗りすぎるとパーツ同士の合わせ目から染み出してくるので注意しましょう。
以降、制作講座内ではこの接着方法を通常接着とします。 |
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裏面にパーツ同士の重なり合う場所がある場合は、そこから隙間に接着剤を流し込みます。この際、適量を超えると表面から染み出てきてしまうので、少量を流し込んだら乾かして確認、付いてなければまた少量を流し込んで確認という作業を繰り返してください。
以降、制作講座内ではこの接着方法を流し込み接着とします。 |
2-6. 仮組みをする〜熱湯でゆがみを直す
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パーツを接着する前に必ず、仮組みを行ってください。
パーツ同士が組み合うか、確認を行ってください。
うまく組み合わない場合はパーツの歪みが原因の可能性があります。
レジンキットは生産の都合上、パーツがゆがんでいる場合があります。
ゆがんだままですと、パーツが上手く組み合いません。
そのゆがみを直す為に熱湯を使います。
- 組みあがったキットが入る程度の大きさを用意してください。
- 一度沸騰させたお湯を容器に移し、パーツを20秒程度つりるとと柔らかくなります。
- 柔らかい間に歪みを修正したり、組み合わせてください。
(画像のように、パーツを仮組みしたものを熱湯に入れて柔らかくして、ギュッっとパーツを押して隙間を無くしてもOKです) |
2-7. デカールを貼る
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デカールとは、簡単に言えばシールのようなものです。少し特殊な方法を使うので、一度全ての手順を読んでから行ってください。また、デカールは非常にデリケートで、少し擦るだけで傷が付いてしまいます。気をつけて作業してください。
これが完成した状態です。瞳は向かって左向きになるように貼ります。 |
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デカールは一枚の大きなシールですので、印刷面のアウトラインに沿って切れ込みを入れる必要があります。その際、カッターの刃は新品に替えましょう。
<手順>
- 画像の赤い線にのようにカッターで切れ込みを入れる。(台紙まで切る必要はありません。)
- 画像の黄色い線のようにカッターで台紙ごと切り分けます。
これ以降の作業写真では手順:2の台紙ごとの切り分けをしてませんが、必ず切り分けて作業してください。 |
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キレイな水と、ティッシュペーパーを3つ折りぐらいにしたものを用意します。 |
水の中に5秒〜10秒程度つけたら、ティッシュペーパーの上に置いて余分な水分を吸わせます。水に浸けすぎるとのりも溶け出してしまうので注意してください。
デカールの印刷面近くの余白をピンセットで押してやるとデカールが台紙の上で動くので、端まで持っていきピンセットでつまみ瞳パーツの上に載せます。位置調整は次の工程で行います。
※絶対に印刷面をピンセットでこすらないで下さい。デカールの表面に傷が付きます。
塗れた綿棒で位置を調整したら、乾いた綿棒に余分な水分を吸わせてください。水分が足りず、デカールが張り付いてしまったら綿棒で少し水を垂らして下さい。
デカールがすぐ剥がれてしまうようなら、木工用ボンドを水で薄めて綿棒でデカールの上に塗ってください。木工用ボンドは乾くと透明になります。木工用ボンドの薄め具合は、綿棒で吸い取れるぐらいです。
2-8. ほほ紅を塗る
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最後にほほ紅を塗ります。
写真ではわかりにくいですが、ほほをパステルで少し赤くして、さらにそこにオレンジの色鉛筆で縦線を数本描いてあります。 |
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パステルをサンドペーパーで削り粉末にします。 |
パステルをサンドペーパーで削り粉状にし、綿棒にとってほほを赤くします。
オレンジの色鉛筆でほほに縦線を無作為に描きます。
2-9. 作業の流れ
この制作講座では居つくかの部位に分けて組み立て手順を解説していますが、毎回下記の手順で行ってください。例外がある場合はその都度解説します。
- バリ・パーティングライン消し
- 削りカスの掃除
- ディテールの復元
- 気泡処理 (ある場合のみ)
- 塗装 (スミいれも含む)
- 組み立てて接着